幻想ミステリ博物館 館長BLOG 読書編

HP「幻想ミステリ博物館」の「館長日記」のうち、読書に関する話題を特化して、BLOGに移行しました。

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光文社文庫の赤江瀑短編傑作選を読む

 なぜか書店にこの3冊が揃っていると、買ってしまうのだ。新刊で出た時も買っているのに、なぜか買ってしまう。ヲタクの欲目だろうか、知らない人に買われるのが不憫で、つい買ってしまう。馬鹿である。
 赤江氏のファンを一人でも多く増やすためなら、積極的に未知の読者に買わせるべきであろうに、自分が横取りする。重ねて言うが馬鹿である。馬鹿だけど、赤江ファンなら判ってもらえるだろう、要は、少数の理解者だけで独占したいのだ。なので4セット目である。本当に、大馬鹿だ。
 馬鹿ついでに久々再読した。実は買ってこの方、目を通していなかった。まあ、今までの全作品持ってるから、別にこれ読まなくてもね、と後回しになっていたのだが。
 今まで短編代表作をまとめて再読と言うと、立風書房の『風幻』『夢跡』『飛花』が全部で48編入っててオトクだったので、そっちを読んでいたが、分厚いハードカバーで手が疲れるので、こっちにしてみた。文庫でもかなり分厚いクチに入るだろうが、こっちは全部で33編だ。まあ、新刊書店で手に入るもので、作品数がまとまっているのはこれだけ。でも、3冊とも再刷されていないようだ。品切れると絶版か…ふう…。
 もと講談社の編集者・成田守正氏が撰者のようで、同時期の学研M文庫の東雅夫氏編の『赤江瀑傑作選』とは、収録作が被らないようになっている。それぞれの巻に、幻想文学57号『伝綺燦爛―赤江瀑の世界』の鼎談で赤江文学を熱く語った、皆川博子・森真沙子・篠田節子の3氏の特別エッセイも収録されている。スバラシイ。全員、うちのHPの面子だ(笑)
 『花夜叉殺し』が幻想編、『禽獣の門』が情念編、『灯籠爛死行』が恐怖編、と銘打たれているが、総じて、幻想恐怖よりも情念が色濃い。芸や物や場に宿る「魔」が、情念を伴って闇の中から立ち上がってくる瞬間を、描き続けてきた作家だ。
 登場人物は「魔」の宿り主以外のなにものでもなく、情念の炎に焼かれて甘美にも身を滅ぼす。それだけ、ただそれだけの作家だ。しかし、それだけのことが、なんと奥深く妖しく切ないことか。ページのどこを開いても、溜息が出る。
 唯一無二の作家だと改めて感心した、というようなありきたりの言葉しか浮かばないが、ひとつ気になったのは、『禽獣』に収録されている「シーボルトの洋燈」の登場人物が、文春文庫版では「岡藤七郎」だったのが「五藤屋七郎」に変更されている点である。水先案内人の家系という設定の人物なので、屋号らしい姓に変えられたのだろうか。この傑作選は赤江氏が全面的に加筆修正をしているらしい。文章などをブラッシュアップもしておられるのだろうが、私が気がついたのはこれくらいだ。
 それにしても、この傑作選、最強です。学研M文庫の「幻妖匣」と併せてオススメするのに最適ですが、そろそろ書店の棚から消えそうです。でもご心配なく、光文社文庫の電子文庫にも収録済み。まだスマホでは読めませんが、そのうちなんとかなるでしょう。
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  1. 2011/11/12(土) 15:41:09|
  2. 幻ミス
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