幻想ミステリ博物館 館長BLOG 読書編

HP「幻想ミステリ博物館」の「館長日記」のうち、読書に関する話題を特化して、BLOGに移行しました。

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連城三紀彦の未刊行長編

 子サイト「連城三紀彦・花葬の館」の未刊行作品ページで触れている通り、連城氏には雑誌連載終了後、書籍化されていない長編が4作もあります。このうち『虹のような黒』は双葉社から2005年9月に、『女王』は講談社から2010年6月に、それぞれ刊行予定が出たのですが(ネット上に痕跡あり)、結局立ち消えてしまいました。がっかりです。
 震災後書架が比較的楽に取り出せるようになったので、これを機に、連城氏のコンテンツを充実させようと決めました。その中で未刊行長編は最大の問題となり得るでしょう。ここに4作の簡単な初出を記しておきます。コピー誌面から換算した原稿用紙枚数も付け加えておきます。

1 『わずか一しずくの血』 週刊小説(実業之日本社) 1995.5.12~1996.11.8 40回連載 650枚
2 『女王』 小説現代(講談社) 1996.3~1998.6 28回連載 1400枚
3 『虹のような黒』 週刊大衆(双葉社) 2002.10.28~2003.7.14 36回連載 400枚
4 『悲体』 すばる(集英社) 2003.8~2004.7 12回連載 400枚

 いづれも連載終了時の誌面に、「当社より単行本化予定」「楽しみにお待ちください」等の編集付記があります。「お待ちください」を真に受けたこちらは、いったい何年待っていると思ってるんだか(苦笑)。
 普通、雑誌や新聞の連載小説は、連載終了後数年以内に刊行されるのが通例ですが、それはあくまで売れっ子作家の話。連城氏も1990年代半ばくらいまでは連載もすぐ刊行され、短編も数がまとまり次第順次刊行されていました。
 しかしこの頃刊行された作品には、一見すると恋愛小説よりの作品が多く、ミステリ文壇から遠ざかった感があって、当時「このミス」などのミステリランク本が一大権威となっていたため、そこからはじかれる形となったのです。この時期の作品もちゃんと読んでみるとミステリ的な趣向も濃厚で、どうしてミステリファンに低評価だったのか?と思うような話ですが、キャラクターの立った探偵が登場して怪事件に挑むという、「新本格」や「メフィスト賞」のムーブメントが続いていた背景もあって、シリーズ探偵を使わない、分り易い本格を書かない連城氏は、ミステリではなく恋愛小説の作家と誤解されたようです。
 この時に「猟奇ミステリー」を謳った『わずか一しずくの血』や、邪馬台国の謎を絡めた『女王』がリアルタイムで刊行されていたら、現在のような状況にもなっていなかったでしょう。
 その後、単行本もなかなか文庫化されなくなり、せっかく1998年からハルキ文庫で6冊出た初期名作復刊も品切れとなり、今世紀になってからは、氏の私生活上での介護や闘病のため、作品数が激減します。
 21世紀に入ってから連載終了した長編は4作ですが、半分は書籍化されず終い。「官能ミステリー」という触れ込みの『虹のような黒』と、純文学誌「すばる」二度目の挑戦『悲体』が、そうです。
 連載作品特有の勘違いやくどさはあるにせよ、どの長編も傑作で、このまま埋もれさすには惜しいです。現在、氏は「小説宝石」にサスペンスフルな長編『処刑までの十章』を連載中で、これも実際単行本になるまではちょっとドキドキしますね。
 復刊ドットコムのような、出版社と作者に対して交渉能力のあるサイトに登録してみようかなと思いますが、その時は是非、皆さまのご協力を仰ぎたいものです。『造花の蜜』が思いがけずヒットして、初見の読者も増えた今なら、なんとかなるのではないかと思います。何よりも連城氏の傑作を埋もれさすには忍びないという思いが、ご本人に伝わればいいのですが。
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  1. 2011/04/14(木) 11:50:12|
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