幻想ミステリ博物館 館長BLOG 読書編

HP「幻想ミステリ博物館」の「館長日記」のうち、読書に関する話題を特化して、BLOGに移行しました。

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できるかな自炊

 日々コピー用紙の山と戦って、指をさくさく怪我しております。庖丁握って料理してる時よりも指を切る回数が多いかも。知らないうちに指先に切り傷が出来ていて、血が出なくともイテエのなんの。仕事でも毎日多量の配布用コピーを作ったりするので、慣れっこではありますが、それでもねえ。
 連城三紀彦氏の未刊行長編のコピーをPDF化出来ないものかと考えたのが、全てのはじまり。他の作家の未単行本化作品なども山のようにあって、そろそろ十年以上経ったものもあって経年劣化でやばいので、なんとかしなきゃと思っているんですが、我が家のスキャナに問題が。
 我が家のスキャナは二年前に買い換えた、プリンタ一体型のフラットヘッド・タイプなので、大量コピーをさばくのに全く向いていないのです。今更富士通の「Snap Scan」に買い換えるのもご予算的に無理だし、どうしたものかと途方に暮れています。
 ためしにチマチマと一枚ずつスキャナに乗せてやってみたのですが、たちまち徒労感に襲われて中断(笑)。こりゃ~ムリだろ~。枚数の少ない短編とかなら出来ますが、週刊誌連載のコピーなんて、いったい何枚あるんだ?図書館でコピーをした時も、随分おカネがかかった記憶が蘇ります。
 もうね、コピー用紙の大量ファイルを持ち歩いたほうがラク!ってな境地に至っております。ダメダメですな。データ化まで、前途はるかに遠し…とほほ…
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  1. 2011/05/21(土) 09:21:38|
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ツタンカーメンのいろはにほへと

 先日から小泉喜美子からみで取り上げているクレイグ・ライスだが、マローン弁護士シリーズ以外の代表作と言ったらやはり、『スイート・ホーム殺人事件』(1944)だろう。「殺人小説で心ほのぼの」((C)野崎六助)出来る傑作だ。
 売れっ子ミステリ作家のお母さんがもっと有名になるようにと、三人の子供たちが隣家の殺人事件を解決しようと奔走し、ついでに忙しいお母さんに似合いの伴侶まで探してあげようという、かなり笑える作品。子供たちが大人にばれないように会話したい時使用するのが、「タット王の英語」と呼ばれる暗号である。冒頭には「タット王イロハ」なる暗号表がついていているが、まあ、他愛もない類のものだ。

 翻訳だと、宝石(掲載時タイトル『甘美なる殺人』)→ポケミス→ミステリ文庫と、長谷川修二氏の訳が半世紀にわたって愛されてきたが、暗号部分はこんな具合だ。
「ダガ・イキ・ジョコ・ブク?」
「ゼッケ・タカ・イキ・ニキ」
 文字の後ろに、母音を同じくするカ行の音がくっつく。つまり子供たちの会話は「ダイジョブ?」「ゼッタイニ」となる。

 暗号でテキストが印刷された暗号小説集『秘文字』(1979)所収の「暗号法とその解き方」では、暗号協会の初代会長・長田順行氏が暗号を六種類に分類しているが、その分類法によると、この暗号は簡単な「換字法」である。
 宝石に翌年掲載された乱歩らとの座談会によると、長谷川氏はこの暗号を日本語に訳す時「深川言葉」を使用したと言っている。
「深川言葉」は遊郭などで発達した言葉遊びで、カ行音を使用する所から「からこと(唐言)」とも言うそうだ。『スイート・ホーム殺人事件』は2009年に羽田詩津子氏によって改訳されたが、暗号部分に「唐言」を使用しているのは全く一緒である。そして、冒頭の「イロハ」表は五十音順に並びなおされて、使い勝手がよくなっている。

 子供たちが変な言葉を使っているのを聞き咎めたお母さんに、末っ子のアーチーが「タット王の英語なんだい」と口を割りそうになる場面が第2章にある。さてこの「タット王」って誰だ?、とお思いでしょう。
 この場面、原書では“King Tut English”と言っていて、冒頭の「イロハ」表は、“The King Tut Alphabet”と記されている。“King Tut”は英語のスラングで「ツタンカーメン」のこと。正式名称が“Tut-ankh-amen”「トゥト・アンク・アメン」で、その頭の音を流用しているのだ。「タット王イロハ」は即ち、「ツタンカーメンのアルファベット」なのだ。
 ちょっと歴史に詳しい人なら、「ツタンカーメン王の時代のエジプトじゃ、ヒエログリフが使われていて、ギリシャ文字由来のアルファベットはそのずっと後だ」と指摘するだろう。ヒエログリフも一種の暗号と見做せなくもないが、何故この暗号がツタンカーメン・アルファベットと呼ばれるのか、よくわからない。

 原書でイロハ表を眺めていると、“B”の項目が“Bub”となっているのに気付いた。ほかのアルファベットも、“F”が“Fuf”、“N”が“Nun”てな具合で、5母音以外はほとんどおまけつきの「換字法」である。案外イレギュラーであるのは、“C”だと“Cash”、“H”だと“Hash”、“J”だと“Judge”、“S”だと“Shush”、“Y”なら“Yum”と、おそらく他の子音の重ね字との混同を避けるためだろう、既存の語を使用している(それぞれ「金」「ごたまぜ」「判事」「しっ!」「旨い!」となる)。

 そして、“T”の項目は“Tut”となる。「タット王」ではないか。何故この言葉遊びの暗号が「タット王のアルファベット」と命名されたか、理由がわかろう。他の語がありふれた言葉であるのに対し、いきなり呪いと謀略の代名詞・ツタンカーメンが出て来るのだから、謎めいていていかにも暗号らしかろう。しかも同時に、“Tut”という言葉は間投詞で「ちぇっ!」という舌打ちの言葉にもなる。言葉にしたくとも発音し辛くて、「ちぇっ! ちぇっ!」“Tut-Tut!”だったのだ。子供が喜んで使いそうな暗号だ。
 積年の謎が解けた。
  1. 2011/03/08(火) 10:11:26|
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時代小説嫌いの弁

 時代小説嫌いを自称している。昨今、お手軽文庫書き下ろし系時代小説が、いわば年寄向けラノベかハーレクイン的な売れ方をしているので、なおさら依怙地に言いたくもなる。私のイヤミなどどこ吹く風で、本屋の棚には書き下ろしの時代文庫が山積み。次々とそれ専門のレーベルまで創出される始末。あまり販売成績の芳しからぬ作家たちも、こぞってこの書き下ろし時代文庫に雪崩れ込んでいる。残念なことだ。
 時代小説を嫌いな人の言い草はだいたい、「実際の歴史と違う点が多いから」という時代考証を言質にしたものが多いはずだ。単純に「マゲもの」が好かん、歴史は頭が痛い、という人もいるだろう。しかし、ある一定の年齢層から上には、単純な価値観と、判り易い勧善懲悪が愛されるのは、まことにもっともな事だと思う。こういう言葉を世代批判に使いたくないが、「ゆとり世代」が席巻しつつある世間の内実に、「団塊世代」が反感を抱くのは仕方がない。
 しかし、私の場合、そこまでの歳ではないし、どちらかと言えば、時代物嫌いは個人的な理由である。遠からず近からずの身内に、チャンバラ小説の文豪がいたからだ。その文豪は、生前はテレビなどにも出て、占い師紛いのことをやって人気があったそうだし、没後は選集も出て、その後も代表作は途切れず版を重ねている。だから一族郎党こぞってこの文豪のチャンバラものを読め、と少年期の私に無言の圧力をかけたのだ。それで素直に読んでりゃ、まあその面白さにも開眼したのだろうが、私はホームズ・ルパン・少年団と、早川と創元と、角川の「黒背」で育ったミステリ者なので、まったく受けつけなかった。
 そんなこんなで、時代小説とは仲違いをしたままの四十年である。若干、時代小説を読むことを覚えたら楽しかろうと指をくわえる時もないではないが、これ以上読む本を増やしてどうする?、という反問が心をよぎる。まあ、死ぬまでご縁はなそうだ。
 時代もの嫌い、と言っときながら、ブログの下で中国の時代ものである狄判事シリーズを誉めているが、私も有名な捕物帳や歴史の中の探偵シリーズは抵抗なく読める、謎解きの骨格をちゃんと備えていればOKなのだ。ただの人情話はお断り。
  1. 2011/02/15(火) 11:48:46|
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あけましておめでとうございます

 HP「幻想ミステリ博物館」も十二年目を迎えました。地味に活動してまいりましたが、昨今、日記のHTML容量の重さに泣かされておりまして、その中の「書物中毒闘病記」のカテゴリーのみ、BLOGに移行することと相成りました。
 今まで頑迷にHTML形式にこだわってきたので、BLOGなんぞ右も左も判りませんが、時々お立ち寄りいただきたいものでございます。
 なお、従来の身辺日記もHPのほうに残しておく所存です。そちらもご贔屓の程、宜しくお願いいたします。
  1. 2011/01/05(水) 12:22:42|
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